コラム

2023.11.21

動機づけと労働力不足の関係

3 労働力不足の企業への影響

次に人手不足が企業にどのような影響を与えるかについて検討したいと思います。

・倒産や業績の悪化

いくら仕事があったとしても、生産や交渉を担う社員が不足すれば仕事を受けることはできません。

需要に対し、供給が追い付かなくなるのです。

無理に仕事を受けた場合、社員一人にかかる負担が増し、長時間労働などの環境の悪化によりモチベーションが下がり退職が相次いでしまう可能性もあります

 

先日もあれほど花形企業であった「宝塚歌劇団」において長時間労働が原因で自殺したという報道がありました。

 

また人手不足に拍車がかかるという悪循環に陥った結果、売り上げが低迷し、最悪の場合倒産したりする企業も後を絶ちません。

 

特に大きな影響をうけているのが中小企業です。

「2020年版中小企業白書」では規模が小さい企業ほど人材が不足しており人材難が深刻だという結果が出ています。

規模が小さい企業ほど求人を増加させているものの、就職希望者は求人を大きく下回っています。

 

 

また、労働力が不足すると、業務のオートメーション化に向けた自動化システムや検査装置など新たな設備の導入が必要になる場合もあります。

事業資金に余裕があれば問題はないかもしれませんが、そうでない企業にとっては死活問題です。

 

「企業規模別一人当たり付加価値額(労働生産性)」では、従来から大企業と中小企業では大きな差があり、この差は徐々に広がる傾向にあります。

財務省の資料では2018年度の大企業の一人当たり付加価値額(労働生産性)は1380万円なのに対して中小企業のそれは僅か548万円でおよそ4分の1の割合です。

 

このことからも中小企業は大企業に比べて事業資金に余裕がありません。ですから「打ち手」も限られてしまいます。

ロゴマーク