BLOG

ある休日、行きつけの床屋さんに行きました。

その床屋さんは娘さんが切り盛りしておりましたが、その日は休日でした

ので、70歳位の母親が手伝っておりました。

 

髪の毛を切りながらいろいろ話をしているうちに、「そういえば、関さん上田商事

に勤めていましたよね、そこに遠藤さんという人いるでしょう?」と聞くのです。

いるでしょうどころか、その遠藤さんこそ、その嫌な先輩なのです。

私はなんとなく「そういえばそういう人いたな」くらいに答えておきました。

 

それでもきっかけを掴んだおばさんは話し続けました。

その話によりますと、おばさんは若いころ、遠藤さんの近所に住んでいたというこ

とです。

遠藤さんが小学5~6年生の頃、父親が商売に失敗し、お父さん、お母さんそれに

妹2人と遠藤少年の5人で川に飛び込んで無理心中を図りました。

他の4人は死亡し、遠藤少年だけが助けられ、4人の家族の死体の足元で茫然として

へたりこんでいるいる姿を、床屋のおばさんは橋の上から見たそうです。

 

私はその話を聞いて、愕然とし、しばらくは声も出ませんでした。

それと同時に遠藤さんへの今までの嫌な奴という思いがスッと引いていくのを感じ

ました。

 

家に帰り考えました。

多分彼は親戚の家に引き取られ、そして親戚の家を転々としたのではないか。

引き取った親戚の家でも最初は憐れんで親切にしてくれただろう、しかし食糧難の

時代です、自分の家族も食べなくてはなりません、次第に邪魔者扱いをするように

なり半年位後には、次の親戚に預けられ、その繰り返しの果て最後には「施設」に

預けられたのではないか。

 

そういう環境で育てば「食べ物に対する執着」や「自分のことしか考えない」こと

はむしろ当然のことではないかと思いました。

そういうことを思いながら、その夜はなかなか寝つけませんでした。

 

それからは自分でも不思議なくらい、彼との仲が良くなりました。

もちろん床屋さんで話を聞いたことなど、言いませんでしたが、私の態度が変化し

たのでしょう。

彼も今までとは明らかに違う親近感を感じる態度で接してくるのです。

それからは、2人だけで度々酒を飲む中になりました。

 

人間はある日突然生まれるのではないのです。

色々な環境に影響を受け、人格や考え方、価値観が形成されるのです。

せすから表面だけでなく、それまでの変遷や、現在の環境を知ることによりその人

を理解すると同時にその人を好きになるのです。

これは幹部が社長に対しても同じです。

やはりできるだけ社長を深く知ることは大切なのです。

 

私はその時の経験でそのことを強烈に知らされました。