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*カリスマは二面性を持たなければならないと言いましたが、そのことについて私

 

の経験を話したいと思います。

 

もう10年以上前の話です。

 

当時私はある地方都市の、中堅企業の顧問をしておりました。

 

その企業は先代の時代に会社の業容を拡大し、県下でも名の通った企業でした。

 

その先代は今は息子さんに社長を譲り会長になっておりました。

 

 

私はその会長の雰囲気や言動にカリスマ性を凄く感じておりました。

 

ある時その企業の常務に駅までタクシーで送ってもらい、お互いに時間があったの

 

で、少し飲みましょうかという話になりました。

 

 

その常務さんは非常に優秀な方で、若い社長を補佐し、ほとんど一人で会社を切り

 

盛りしておりました。

 

 

最初はとりとめもない話しをしておりましたが、いつの間にか現会長のことになり

 

ました。

 

彼の言うところによりますと、今は80歳を超し温厚になりましたが、

 

若いころは元気がよく、ものすごいワンマンだったそうです。

 

 

しかも、かなり横暴で怒りだすと手に負えず、人前でも社員を罵倒するような言動

 

 

がかず多くくあったそうです。

 

しかも旧帝大出身ということもあり、理屈では勝てず、大変つらい思いをしたそうです。

 

私も先代社長の若いころのワンマンぶりは聞いておりましたし、今でも時々急に怒

 

り出すことなども経験しておりました。

 

またその常務さんの優秀さも実感しておりましたので「あなたほどの優秀な

 

人でしたらいくらでも転職できたのではないのですか」と聞いてみました。

 

すると常務さんは急に黙りこんでしまい、しばらくしてからおもむろに話しだしま

した。

 

「先生、私も会長のあまりの理不尽さにやめようと思ったことは何度もありまし

 

た。しかしあの事を思い出すと、辞めようとする気持ちが無くなってしまうので

 

す」と言ってうつむいてしまいました。

 

その眼には涙がたまっておりました。

 

私は常に冷静な常務さんが涙をこらえているのにびっくりし、しばらくは口もきけ

 

ませんでした。

 

しばらくしてから常務さんはこのような話はをしてくれました。

 

2~30年ほど前、彼は30代の若さで肺結核という当時は「死の病」にかかってしまったそうです。

 

山奥の療養所に入院し、絶望的な日々をおくっていました。

 

自分はもう再起できないのではないか、ケチで強欲な社長が働けるかどうかも

 

わからない自分の面倒を見てくれるはずがないと思いつめ、一時は自殺すら頭をよ

 

ぎったそうです。

 

ある日突然社長が現れたときは「とうとう自分を辞めさせに来た」と覚悟したそう

 

です。

 

しかし社長は「どうだ元気か」といい、その後は世間話をしたりして、「まあゆっ

 

 

くり病気を治して早く会社に出てこいや」といって帰ってしまったそうです。

 

 

彼は拍子抜けしてしまい、しばらく呆然としていたそうですが、

 

ふと枕もとを見ると布団が膨らんでおり、めくってみると紙の袋に入ったお金が出

 

てきたそうです。その金額はなんと30万円でした。

 

当時の新入社員の初任給が1万5千円ぐらいでしたから、現在に換算すると4~5百

 

万もの大金でした。

 

彼はびっくりすると同時に社長の恩情に触れその夜は泣いて明かしたと言っており

 

 

ました。

 

彼はその感激を忘れることなく、ずっと胸に秘めていたそうです。

 

私はその時思いました「そうかただ横暴なだけでは人に嫌われ人が離れてしまう、

 

 

またただ優しいだけでは軽く見られてしまう」カリスマにはその二面性が

 

必要なんだなと深く感じました。