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最愛の妻に先立たれたイザナキは、ひとり悲嘆のうちに暮らしていましたが、時が

経っても、悲しみが薄らぐことはありませんでした。

 

イザナキはもう一目、妻に会いたい気持ちをとどめることができずに、ついに、地

下の世界にある死者の世界の黄泉国(よもつくに)を訪ねていきます。

 

この国は生きた者が来ることをかたく禁じており、その御殿は冷たい石の扉で現世

との間をしっかりと閉ざしていました。

 

しかし夫のイザナキがはるばる訪ねてきたのを知って、イザナミは扉の所まで迎え

に出ました。

 

そこでイザナキは「いとしい我が妻よ、お前と一緒に作った国は、まだ本当に完成

しているわけではない、私にはまだお前の助けが必要なのだ。

どうか私と一緒にもう一度戻ってきてはくれないだろか」と呼びかけました。

 

その呼びかけを聞いてイザナミは「もっと早く来て下さらなかったことが、悔やま

れてなりません。。私はこの黄泉国の食べ物を口にしてしまいました。

私の身体は穢れています。

 

それでも愛しいあなたが私をお迎いに来ていただき本当に嬉しゅうございます。

私も飛び立っても帰りたい気持ちになりました。

この国々の神と相談して帰ってよいかどうか伺ってまいりますのでしばらくの間待

っていてください。

ただお断りしてしておきますが、その間は私の姿をごらんにならないでください」

そういって御殿の中に戻っていきました。

 

イザナキは扉の所に佇んで待っていましたが、イザナミはなかなか現れません。

あまりにも時間が長いので、とうとうしびれを切らし、禁を破って中に入ってみよ

うと思いました。

 

そこで櫛の歯に火をつけて、あたりを照らしながら進んでいきました。

やがて御殿の中に乏しい明りに照らされてイザナミの姿が眼に映りました。

 

なんということでしょう、それはかつて知っていた美しい妻の姿ではなく、腐敗し

てウジがたかり膿が流れ出し、八柱の雷神(イカヅチガミ)湧きだしている恐ろし

い姿でした。

 

この姿を見てイザナキは恐怖に凍りつき、恐れおののきながら一目散に逃げ出しま

した。